導入サービスUtilityz Cloud Model(仮想サーバ型)
ドットコモディティ株式会社
事業内容: オンライン専業商品先物取引
オンライン先物取引業界で初のプライベートクラウド化に成功システムコスト60%の大幅削減と新たなビジネスチャンスを獲得
オンライン商品取引最大手のドットコモディティ株式会社は、2007 年の事業統合時にインフォリスクマネージのマネージドホスティング『Utilityz Cradle Model(ユーティリティーズ・クレイドル・モデル)』を採用し、迅速なインフラの集約に成功した。さらなるコスト削減が課題として浮上すると、2010 年5月にサーバ仮想化技術を駆使した『Utilityz Cloud Model(ユーティリティーズ・クラウド・モデル)』へと移行し、システムコストを従来比で約60% 削減に成功。また今回の移行を機に、同社の強みを活かした新たなビジネスをスタートさせている。はたしてクラウド環境への移行が、どのようなチャンスをもたらしたのか。さっそく話を伺った。
3社事業統合が急成長のきっかけに
取締役 システム管掌執行役員 原田勉氏
いまや株式や為替のオンライン取引はあたりまえの時代になったが、商品取引も例外ではない。オンライン取引は対面営業に比べ、口座開設から取引、取引後の内容確認など、一連の流れがスピーディかつ簡単。そうした手軽さが個人投資家に支持されて、利用者の裾野は大きく広がっている。
中でも成長目覚ましいのは、2004年に国内唯一のオンライン専業商品取引会社として誕生したドットコモディティ株式会社だ。設立間もなかった同社が大きく飛躍したきっかけは2007年のひまわりCX、アストマックス・フューチャーズとの3社事業統合だ。商品先物総合情報サイト[Factual Futures]によると、事業統合後の2009年10月には、オンライン商品取引において、口座数、預り資産、売上高のいずれの部門でもトップを独走。さらにシステムの評価でもナンバーワンの評価を獲得している(同Factual Futures調べ)。同社はビジネスとサービスの両面で、オンライン商品取引のリーディングカンパニーといえるだろう。
この事業統合の意味を、取締役・システム管掌執行役員の原田勉氏は次のように語る。
「3社統合によって、一気にオンライン商品取引として業界2位の規模に成長しました。もちろん規模のメリットだけでなく、シナジー効果も大きかった。例えばアストマックス・フューチャーズが自社開発したトレードツール『Formula』は当時から高い評価を得ており、他2社のユーザーにとってユーザビリティは大いに向上したはずです」
事業統合による収益性の向上と、各社の強みを生かしたサービス面の強化。業界のリーディングカンパニーとなる下地は、まさにこのときに出来上がったといえよう。
さらなるコスト削減を目指してサーバ仮想化へ
この事業統合により、同社のフロントシステムは『Formula』に統合された。ではバックシステムはどうだったのか。原田氏は次のように明かしてくれた。
「バックシステムのインフラを単に合わせるだけでは、コストも3倍になって事業統合の効果が薄れてしまいます。そこでインフォリスクマネージさんのマネージドホスティング『Utilityz Cradle Model(ユーティリティーズ・クレイドル・モデル)』を採用し、3社のインフラを集約して再構築することに。実はこのプロジェクトは事業統合の発表からカットオーバーまでの期間が短く、サーバの調達・構築にかけられる時間は1ヶ月しかありませんでした。となると、スピーディな対応がパートナー選定の絶対条件。打診した5社の中からインフォリスクマネージさんを選んだのも、納期に間に合う提案をしてくれたのが同社だけでした。」
インフォリスクマネージの迅速な対応により、新システムは予定通りの2008年1月に無事にカットオーバー。インフラが集約されたことにより、一定のコスト削減効果もあった。ただ、サブプライム問題やリーマンショックが立て続けに起こり、すぐさま次の一手を求められたという。
「全社的にコスト削減を推し進めることになり、構築が終わったばかりのシステムもその対象になりました。さらにコストを抑えるとなると、抜本的な見直しが必要になります。そこで浮上したのが、サーバの仮想化技術を活用したプライベートクラウドです。2009年の2月には、それを念頭に置いて新システムの検討を始めていました。」
運用実績と低コストが評価の決め手に
執行役員 法人営業担当 中山幸彦氏
プライベートクラウド導入にあたり、ドットコモディティがもっとも重視したのはコストだった。
「前回のインフラ集約時は、3社事業統合のスケジュールに間に合うスピードが必要な条件でした。しかし、今回は単に早いだけではダメ。全社的なコスト削減方針が移行のきっかけになったことを考えると、低コストを実現できないと移行の意味がありません。そういう意味では、運用実績のあるインフォリスクマネージさんといえども選択肢の一つに過ぎませんでした。」
同社はインフォリスクマネージを含めて3社に打診した。改めてフラットな目で評価し、最終的に選択したのはインフォリスクマネージのサーバ仮想化モデル『Utilityz Cloud Model(クラウド・モデル)』だった。
「他にも目標金額に近い提案をしてくれたクラウドサービスはあったのですが、なかでもインフォリスクマネージさんが柔軟な姿勢を示してくれました。もともと運用実績で高く評価していただけに、コストの問題をクリアできるなら他社に移行する理由はない。最終的には2010年1月にインフォリスクマネージさんに決定しました。」(前出・原田氏)
クラウドへの移行でセキュリティとサービス品質を維持しつつもコストを60%削減!
クラウドへの移行について、セキュリティやパフォーマンスを不安視する会社は少なくない。一般的なプライベートクラウドならサーバを他社と共用することはないが、同社は後述のように一部をパブリッククラウドとしても活用している。その点に不安はなかったのだろうか。
「我が社は証券会社並みのサービスとセキュリティを追求しているので、当然、システムにおいてもパフォーマンスやセキュリティは重要な要件です。ただ、それらについては検証に3ヶ月をかけて確認しています。『Utilityz Cloud Model(クラウド・モデル)』への移行作業は営業日ではないゴールデンウィークに実施しましたが、移行後、一部の社員からは『レスポンスが良くなった』という声もあがったくらいです。」
では、肝心のコスト削減効果はどうだったのか。『Utilityz Cloud Model(クラウド・モデル)』は、ハイパーバイザと呼ばれる仮想化ソフトでサーバの利用効率を最大化する。同社の場合、この技術を活用することでサーバ台数は従来の6分の1に激減した。新しく導入したサーバのスペックが違うため一概にはいえないが、リソースは約10分の1程度に収まった計算で、それに合わせてコストも抑えられる。
「加えてこれまでかかっていたコストから約60%という大幅なコスト削減に成功し、着実に導入効果が表れています。さらに期待しているのは、今後のリソース追加。現状でもキャパシティに余裕があるため追加の予定は当分ありませんが、仮に何らかの理由でサーバを増やすとしても、1台追加するだけで従来の12~13台分のパフォーマンスが期待できる。今後はリソースの予算で頭を悩ませなくていいと思うと、気が楽ですね。」(前出・原田氏)
また、IT資産管理の手間が省力化できたことも大きい。
「これまでは100台近いサーバがあって、それぞれ保守契約終了のタイミングが異なっていたために資産管理が大変でした。しかし、現在は必要なときに資産管理台帳を見せてもらうだけでいいし、そもそも管理すべき台数も少ない。運用面の負担はほとんどなくなったといっていいのではないでしょうか。」
クラウド環境を利用して、自社システムを他社に販売
サーバ仮想化によって大幅なコスト削減を実現した同社だが、実は今回の導入には途中から新たな目的も加わっていた。競合他社へのシステム提供だ。執行役員・法人営業担当の中山幸彦氏はこう語る。
「オンライン商品取引業界では、フロントもバックも、自社開発ではなくASPサービスを利用する会社が多数派でした。しかし、従来のASPサービスは、クオリティやコスト面で必ずしも満足できるレベルに達していなかった。だからこそ自社開発の『Formula』を持っていた弊社が差別化に成功したわけですが、優れたシステムを独占的に使っているだけでは業界が活性化しません。そこで目を付けたのが、ちょうど社内で進んでいたサーバ仮想化のプロジェクト。もともとはプライベートクラウドとして進んでいた話ですが、一部をパブリッククラウドとして活用し、他社に提供してもいいのではないかと気づいたのです。」
実際に他社のニーズは高く、販売活動を始めてから半年ほどで、すでに5社の利用が決まっている。さらに外資系金融商品販売業の企業からも引き合いが来ているという。
「基本パッケージの提供料金は従来のASPサービスと比べ、初期費用は約0.4%、ランニングコストは約7%程度で提供できます(諸条件・金額は同社に要問合せ)。競合他社へ弊社の強みであるシステムを低価格で提供をすることとなりますが、商品取引の裾野が広がれば、まわりまわって弊社の利益になるはずです。いずれにしてもこのような価格で提供できたのは、クラウドのインフラ環境を低コストで提供してくれたインフォリスクマネージさんのおかげですね。」
クラウド環境の実現は、インフラコストを下げるだけでなく、新たなビジネスチャンスまでも作り出す。今後はより良い環境を作るため、クラウド環境に移行しなかった既存の物理環境との接続をして利用する予定だ。同社の今後の展開にもぜひ注目していきたい。












